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2010年3月号(Vol.40)
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山芋スーブ
読谷村に住んで四半世紀、毎年寒くなると道路沿いに「山芋スーブ」の看板が現れるのが気になっていた。
恥ずかしい話だが、最初は山芋のスープだと勘違いしていた。スーブは勝負のことだと知ったのは何年か過ぎてからだ。山芋でどんな勝負をするのだろう、料理の腕を競うのだろうか、それとも山芋を持って戦うのだろうかなどと勝手に空想していたのだが、実際はどんなものなのか見てみたくなって取材に出かけた。
12月13日の日曜日、会場の読谷村瀬名波農村公園で新垣さんと待ち合わせ、山芋スーブのための芋掘りに同行させてもらった。
軽トラックに先導されて最初に向かったのは残波岬のすぐ近くにある畑。
前日にあらかじめ山芋の蔓は刈り取られ、周りの土は重機を使って掘ってあり、畑の持主がスコップを使い山芋を掘り出していく。
一株からどれだけの重量の山芋が収穫できるかが山芋スーブなのだ。
ほんの数分で収穫作業は終了、4~5人がかりで軽トラックに積み込み素早く次の畑へ移動する。
山芋スーブのための山芋は、頑丈な囲いに守られた畑で大切に育てられる。畑の土の硬さや肥料、日当り具合など様々な要素が絡み合い、掘り出してみるまではどのくらいの重量の芋ができているのかわからないのだそうだ。収穫の醍醐味が伝わってくる光景である。

掘った山芋は次々と山芋スーブ会場に運ばれて、順次計量し、名前と重さが記された。結果は1位・比嘉徳栄さん、2位・山内真健さん、3位・津波勇雄さんと決まり、そして見かけの良さの第1位「カーギ賞」として新垣長吉さんの小振りだが形の整った山芋が選ばれた。
婦人会のみなさんによる豚汁がふるまわれ、お酒も入っておじさんたちの機嫌も上々。それにしても、目の前に置かれた大量の山芋の山はどうなるんだろう。ひょっとしたら山芋料理の試食があるのかとひそかに期待していたが、そういうものは全くなく、難儀させた婦人会の面々に一部寄付され、あとの芋たちも大事に食されるらしい。聞けば冬掘った山芋は春になるまで保存がきき、次のための種芋にもなるとのこと。
はじめ、「山芋スーブ」と赤い字で書かれた看板をみて、何となく祭めいたことを期待していたが、この催し物は読んで字のごとく、純粋に勝負なのだった。
最後に未練がましく山芋を見つめていたら、「カーギ賞」の新垣さんが芋を分けてくれた。
持ち帰って、すり下ろして、ご飯にかけたり、火を通してから、味付けして食べてみた。歯応えがさくさくして、スーパーにある山芋とはちがうおいしさがあった。
この芋のことをフィリピンではウベといって、以前アイスクリームにしたのを食べたことがあるが、とてもおいしかったのを思い出した。
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